No.383
カテゴリ:ドラマ・ヒューマン
オススメ度6 ★★★★★★☆☆☆☆
著者:椙下聖海
出版社: 新潮社
発売日:2016/12/9(1巻)
巻数:1巻以下続刊
「この人みたいになりたい」
綺麗なお魚たちが溢れる、その表紙に惹かれました。
水族館漫画ですと!?
なんだそれ?
初めて読みます、このジャンル。
それがこの「マグメル深海水族館」です。
あらすじ
マグメル深海水族館は、東京湾の水深200メートルにある世界唯一の水族館。
そこで清掃員のアルバイトとして働くことになった天城航太郎。
ある日、館長の大瀬崎湊人に出会ったことで、彼の人生に変化が訪れる――。
水深200メートル。
もちろんそんな海の底にある水族館なんて世界中どこ探してもありません。
架空のお話。
なんだよー。
ファンタジーかよ!
なんて思って読み始めたのですが…。
なんとなんと。
思いのほか、ガチでした。
清掃員として働き始めた青年が、水族館の飼育員となるべく成長していく物語。
珍しい深海生物をテーマに、その飼育に関わる人たちやお客さんとのエピソードが展開されます。
基本は1話完結。
単なるお魚の生態紹介ストーリーではありません。
深海魚を扱う難しさ。
それに携わる飼育員の苦労と努力。
そして水族館ならではの「魅せる」演出の妙。
その舞台裏。
知らないお仕事の世界がそこにあります。
なかなかに面白い。
水族館自体は架空ではありますが、そこで働く人たちの生き様はリアリティを持って描かれていきます。
これはいわゆる、お仕事漫画です!
水族館な人たち。
天城航太郎(てんじょう こうたろう)。
19歳。マグメル深海水族館の清掃アルバイト。
深海生物が大好き。でも少し引っ込み思案。
大瀬崎湊人(おおせざき みなと)。
マグメル深海水族館の館長。
深海生物のエキスパート。
湖(しずか)さん。
マグメル深海水族館の飼育員。
深海生物がいっぱい。
【ダイオウイカ】
体長6~14m
世界最大の無脊椎動物だぞ!
巨大な目は直径30cmもあるぞ!
【ダイオウグソクムシ】
体長20~50cm。
深海の掃除屋だぞ!
5年食べなくても生きてるぞ!
【ラブカ】
体長100~150cm。
原始的なサメだぞ!
あの『シン・ゴジラ』第二形態のモデルにもなったぞ!
まだまだいっぱい出てきます。
珍生物のオンパレード!
なんだか、テンションが上がるぞ!
各エピソードの後に、その回で取り上げた深海生物の解説があり、描きれないマメ知識を補完してくれます。
この監修がなんと、沼津港深海水族館の館長、石垣館長。
各生物の生態や、飼育の苦労に妙にリアリティがあるのはこのおかげか!?
水族館の舞台裏。
この水族館の特徴として。
建物が深海にあります。
ガラス張りになっており、リアルの深海生物を観察できるのが売り。
目玉といえる巨大生物は「水槽内で飼われていない」ということ。
なので。
会えるかどうかは運次第!
ドヤァ!
って、いいのかこのシステム!?
広い広い海の中。
そんなに都合よくダイオウイカ来るかよ!
なので、あの手この手で呼び寄せる飼育員の努力が描かれます。
ダイオウイカの大好物。
深海のソデイカを餌におびき寄せる!
そんな都合よく…ねぇ?
くるか?
くるのか?
来るんだな!
マッコウクジラまで!
持ってるねぇ!!
多少のご都合主義展開もアリでしょう。
来ないで終わったら、ドラマにならん(笑)
こういう水族館の舞台裏の演出エピソードが面白い。
これからどんなネタが出てくるのか、楽しみです。
さて、評価は?
初めて読む作家さん。
表紙の作画クオリティを期待すると、本編は若干がっかりするかも。
著者はこれが初連載とのこと。
正直、導入部は微妙でしたが、エピソードを重ね、巻末に向かうに従ってどんどん良くなっていきます。
1巻は、あくまでプロローグという仕上がり。
次巻から、本格的に飼育員を目指す主人公の奮闘が始まりそうです。
そして、キャラたちの過去にも注目。
航太郎の父とミナト館長には何か因縁がある模様。
その謎解きと過去エピソードは次巻以降へ。
そこにもちょっと期待したい。
まずは予想よりも面白い!の【星6つ】で。