No.297
カテゴリ:ファンタジー/恋愛
オススメ度5 ★★★★★☆☆☆☆☆
著者:原作:ウェルザード 作画:小倉裕也
出版社: 集英社
発売日:2017/6/2(1巻)
巻数:1巻以下続刊
「私達…死んじゃったの?」
すごく切ない感じのするこの表紙に惹かれました。
原作は、あのデスゲーム・ホラー「カラダ探し」の著者。
となると内容は…。
気になってしまいます。
ということで読んでみました。
それがこの「命を分けたきみと、人生最後の夢をみる」です。
あらすじ
ある日、同じ場所で交通事故に巻き込まれ、命を落とした高校生の美奈と大夢(ヒロム)。
二人は死後の世界で、どちらかの余命が約1年残っていることを知る。
その貴重な時間を半分ずつ分け合い、元の生活に戻った二人だが――
受け入れがたい現実に直面した少年と少女が辿る衝撃の運命とは…!?
ううむ。
なんだろう?
設定は面白いと思うのですが。
予想と違うぞ。
ファンタジーとラブコメが混ざったような。
表紙から受ける印象とはまるで違う。
もっと青年漫画的なリアリティある描写を期待したのですが、あくまでも少年漫画、ジャンプ的な雰囲気の作品です。
作画の技量のせいもあると思いますが、「死」というテーマを扱うにしては幼い印象。
コメディでもない。
シリアスなヒューマンドラマでもない。
なんだか「ふわっ」とした仕上がりです。
命を分けた人たち。
窪塚美奈。
進路を控えた女子高生。
憧れの先輩と会えるだけで幸せを感じる。
川村大夢(ヒロム)。
態度のキツいイケメン高校生。
あと一度だけ幸せを感じられたらいいと言う。
何か事情を抱えているご様子。
天使。
天国への案内人。
同時に死んだ二人に、持ち主のわからない「余命1年」を半分づつ分けて返す。
生き返る条件?
「死」をテーマにした少年と少女の群像劇。
死んで生き返る主人公という設定。
なんども漫画や映画で題材にされてきました。
今更、新鮮味はありません。
あとはどんな切り口でくるのか?
というのが見どころになるわけですが…。
余命が実は1年分、残っている。
同時に死んだので、どちらの余命かわからない。
なので二人で半々に余命を分けて生き返る。
ここで定番の「生き返る条件」みたいなのがあるわけです。
1. 二人は1日に一度会わなければいけない。
2. 幸せを感じると余命が短くなる。
幸せを感じたら余命が減るって、なんで?
その基準もめっちゃファジー。
憧れの先輩と喋っただけで、余命が1日減るぞ!
どんだけ採点厳しいのよ!
そんなん、すぐ死ぬ(笑)
曖昧な条件に、どうにも違和感。
そもそも。
「死」んで「生き返る」というのをすぐに受け入れている主人公二人。
余命半年という命の期限がある割にはのほほんとしすぎ。
*デスノートではありません。
あと半年で死んでしまうと知ったら?
どうなりますか??
焦燥、苛立ち、諦め、絶望。
死を控えた人間が直面するであろう心理が描かれていません。
生き返って、余命半年とわかった女子が、憧れの先輩に会えただけで、すぐにときめきますかね?
僕なら、それどころじゃなくて。
これからの事と、残された命の時間の事で頭が一杯になりそうです。
オチを予想。
最初の事故に遭った時に出てきたもう一人の人物。
あえてサラリと流されていますが。
これ、きっとオチに絡むよね!?
1巻の最後。
主人公の片割れ、大夢くんがつぶやくこのセリフ。
もう一度会いたい人物とは…?
1巻を通して読むとわかってしまいそう。
こんな、すぐにわかるような伏線を使ってくるのか?
それとも、裏切ってくれるのか?
作品紹介の「最後に衝撃の結末ーー」とあるので、何かあるはず。
オチには興味津々。
さて、評価は?
表紙の繊細さを期待した作品でしたが、作画はそれほど緻密ではなく。
少年漫画っぽいタッチ。
最初に書きましたが、テーマに比べてちょっと絵が軽すぎるかな、と思う。
そして物語の方向性がハッキリしない。
ファンタジーラブコメになるのか。
それともシリアス展開が来るのか。
1巻はどちらにも中途半端な具合で終わってしまいました。
正直オチは気になりますが、続けて読むかどうかは微妙な読後感。
ということで、ここは【星5つ】とさせて頂きます。
ジャンプ+で試し読みできます
➡︎こちらから
【その他のウェルザード作品】
喰猟教室
(2017〜)
記事を読む
カラダ探し 1〜15巻
(2015〜)
記事を読む
【その他の小倉裕也作品】