No.93
カテゴリ:SF
オススメ度7 ★★★★★★★☆☆☆著者:高松美咲
出版社: 講談社
発売日:2016/1/22
巻数:1巻完結
「これではっきりしたじゃないか 夢だ 夢」
表紙の妙に寂しい絵柄が気になりました。
宇宙船でのサバイバルものだと聞けば、読まずにはいられない!
それがこの「カナリアたちの船」です。
あらすじ
高校生の宇高ユリは、ある日の帰り道、空を覆い尽くす巨大な飛行体と遭遇する。
気を失ったユリが意識を取り戻したのは、日常とかけ離れた異世界だった。
そこで唯一出会った人間は、北沢千宙という男性。
他に人間はいないのか、あれから友だちや家族はどうなったのか──
帰りたい場所はまだ残っているのか。
ふたりぼっちのサバイバルが始まる…。
「閉じ込められた」シチュエーションって好きです。
それがSFならさらに!ドン!
初めて読む作家さんです。
女性作家さん特有のソフトなタッチ。
二人っきりなので、全編通して寂しい雰囲気。
ただ、そこがいい。
絶海孤島のような緑広がる異星の大地の中にポツンとある宇宙舟。
その中での出来事。
アドベンチャーたっぷりのSFではありませんが、ストーリーのテンポは良く。
散りばめられた伏線。
少しずつ明らかになる謎。
地球はどうなったのか?
元に戻れるのか?
それらが最後にどんでん返しとともに、キュッと締めくくられます。
さて、評価は?
決してハッピーエンドとは言えません。
「悲しい」ではなく「切ない」が近いかな…。
最後の最後。
あとは読者自身に主人公の行く末を想像させるという結末。
こういうの嫌いじゃないです。
1巻完結という短さながらも、しっかりと楽しめました。
オススメの【星7つ】。
新しい切り口の切ないSFです。
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