ねぇ、ママ

No.307
カテゴリ:ドラマ・ヒューマン
オススメ度7 ★★★★★★★☆☆☆
著者:池辺葵
出版社: 秋田書店
発売日:2017/6/16(1巻)
巻数:1巻完結

「なんていとしい子だ」

心にそっと静かな感動を残していく。

優しい空気感が溢れる池辺葵先生の新作です。

「母」をテーマにした7つのオムニバス・ストーリー。

それがこの「ねぇ、ママ」です。

概 要

収録作品は以下の7編。

1. きらきらと雨
2. ザザetヤニク
3. 夕焼けカーニバル
4. カラスの鳴く夜にヤニクは
5. 残照
6. stand up
7. アンテルメ


感 想
やはり好きです。
この空気感。

ふわっと包まれる。
静かで、ノスタルジックで、澄んでいる。

この作品は「母」をテーマにしています。

なのに、ストーリーの半分以上は「母」が主人公ではありません。

母を待つ少女だったり。
母になれなかった女性だったり。
母から離れた息子だったり。

母目線で描かれるお話ではなく。
母以外の人物から捉えた「母親像」なるものを描いていきます。


あらすじ&1カット

1. きらきらと雨

女手一つで一人息子を育て上げた母。
やがて息子が就職し家を出る日を迎えるが…。

2. ザザetヤニク

修道院で過ごすザザとヤニク。
ヤニクはママが迎えに来るのを待っている。
ある日二人はこっそり修道院を抜け出すが…。

3. 夕焼けカーニバル

ある日、ワカちゃんは魔女を発見する。
やがて魔女と仲良くなったワカちゃんは、集会についていくことに…。

4. カラスの鳴く夜にヤニクは

2話の「ザザetヤニク」のその後のお話。
少し大きくなったザザとヤニク。
ある日ヤニクの母と名乗る夫人が現れるが…。


特にこの4話目のお話が好き。

勝手に捨てて、また身勝手に迎えに来る母親に対して。

ヤニクを妹のように思っていたしっかり者のザザが、泣きながらヤニクに祈りを捧げるシーン。

母親に対して恨み言を述べた後に出る祈りの言葉。

それにはグッときてしまいました。

ザザちゃん…。
ええ子やぁ。。

なんて言ったかは本編で確かめてみてください。


さて、評価は?

大きく盛り上がるエピソードはほとんどなく。

淡々と静かな日常を描いたものばかり。

セリフは極力少なく。
大きく白っぽいコマ。

絵の「間」で読ませます。
その「間」と人物の表情が絶妙です。

感情が流れてくるというか。

この作風は著者の最大の特徴ですね。

このひっそりとした静けさが好きな人はいるでしょう。
一方、退屈と感じる人もいるかもしれません。

ハリウッド映画が好きな人と、フランス映画が好きな人。
それくらい趣向が分かれる作品です。

僕は好きです、の【星7つ】でオススメ。

静かな夜に読むと最適ですよ。

全1巻を読む
(2017)


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