No.118
カテゴリ:日常/1巻完結
オススメ度8 ★★★★★★★★☆☆著者:阿部共実
出版社: 秋田書店
発売日:2014/5/8
巻数:1巻完結
「2人だけの秘密だよ」
「このマンガがすごい!2015」オンナ編1位を獲得した作品。
最近の「このマンガがすごい!」のランキングには物申したい気分ではありますが…。
やっぱり気になりますよね。
ってことで当時読んでみたのがこの「ちーちゃんはちょっと足りない」です。
あらすじ
女子中学生のちーちゃんとナツ。同じ団地で幼馴染。
二人はとっても仲良し。
成績、お小遣い、いつも「ちょっと足りない」と思っている。
そんな二人の日常の風景ーー。
実はこの作品を読むまで阿部作品って読んだことなかったんですね。
たまに見かける鬱系漫画のまとめ。
そこに載ってるなぁ、くらいの認識でした。
そんな時に1位ですからね!
満を持して手に取ってみたんですよ。
期待のハードル上げちゃうよ?
また過剰に評価されてるんじゃないの〜?
って。
かなり斜めに構えて読み始めたんです。
作画は可愛い。味がある。
ちょっとアホな子の日常系ストーリー。
『よつばと』『ばらかもん』みたいなもんか…?
と、ほんわか日常系かなと思い読み進めていると。
あれ、なんか?
違くない?
ちょ、マジで?
これ、大丈夫!?
痛い、痛い、痛い。
心が痛ァァァァーーーーー。
騙された。
完全に油断した!
他愛もない女子中学生のアホ日記だと思ってました。
ちーちゃんは「足りない」どころじゃない。
笑えないレベル。
そして親友のナツ。
こちらも小者すぎて可哀想になる。
最初のシーンも最後のシーンも、仲良しのちーちゃんとナツのカット。
二人はずっと一緒…。
でも取り巻く状況は驚くほど変わってしまう。
この作品はちーちゃんを見つめるか、ナツを見つめるかで大きく印象が変わる。
確かにちーちゃんは色々と足りてない。
でも「足りてない」ものの正体を自覚できないだけ幸せだ。
でも。
ナツは「足りてない」ものを明確に認識できる分、苦しい。
そして自分を「何もしない静かなクズ」と言い切る。
これは…切ない。
ナツに共感してしまうと、痛くて読めないよ。
もうラストの電話をかけるシーンなんて辛すぎる。
ほんの1mmさえもナツの気持ちがわからない、という人。
きっと幸せな学校生活だったんですよ!
僕ですか?
実はちょっと共感してしまう部分があって。
読み終わった後、少しボーと思考が止まってしまいましたよ…。
これね。
もっと青年漫画風のシリアスなタッチだったら、ここまで心に引っかからないんじゃないかな。
可愛い絵柄とテーマのギャップに「このマンガがすごい!」となったんでしょう。
評価はなるほど、です。
僕も1票。
未読の方は、ぜひ読んでみてほしい。
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