No.60
カテゴリ:SF
オススメ度7 ★★★★★★★☆☆☆著者:遠藤浩輝
出版社: 講談社
発売日:1998/4/23(1巻)
巻数:18巻完結
「罪をかぶるものが必要だったんだよ」
もっと早くに読みたかった..。
と思った作品です。
それがこの「EDEN」です。
あらすじ
正体不明の硬質化ウイルスにより、人類は世界人口の15%を失った。
20年後、人類は復興を始めるが……。
人類はリセットされるべきなのか否か。
神に、地球に、人類が試される――。
その惨劇の最中に、人類が“選択”した未来とは?
これぞハードボイルドSF!
1巻のオープニングからぐっと引き込まれます。
プロローグでは、世界が終わったような描写。
2巻以降は近未来へとストーリーが展開していきます。
テーマはずばり!
人類は今後、存続すべきか否か?
政治、経済、宗教、紛争、差別…。
今ある地球上のすべての問題にスポットを当てています。
著者の多方面への深い考察が伺えます。
容赦のない展開。
とにかく世界観が複雑。
登場人物、出てくる組織、対立関係、等々。
十分な説明もなく進んでいくところがあります。
ぼっとしてると置いていかれます。
時間軸もあちこち飛ぶので、読んでいて「あれ?」となる場面もあり。
そして何と言っても!
登場人物たちが容赦なく死んでゆきます。
感情移入して読んでいると、これは辛い。
しかもいいキャラだったりするんですよ!
ストーリーはドライに徹しています。
弱い者は死ぬ、ということ。
もっと早くに読めば良かった。
実は僕がEDENを読んだのは最近です。
11年にわたる長期連載。
本当に一巻が18年前の作品なのか!?と驚愕しました。
読んでみるとまぁ~面白い!
ストーリーや設定に若干の古さを感じつつも、当時なら相当に進んでいたSF作品
だったのではないかと。
メカ類や人物の作画はとても緻密。
古いと感じてしまったのは、日常描写の細かいところ。
人間のサイボーグ化や、電脳ハッキングする技術がある世界なのに
携帯がガラケーだったり、データ接続がごついケーブルで有線だったり、刑事がオープンリール(テープね)を使っていたりと…。
メカ類の進歩の割に電子機器は2000年初頭です。
連載当時にはスマホやタブレットやUSBメモリなんてなかったんですもんね。
さて、評価は?
細かいとこは置いといて。
ハードなストーリー展開は暗く、重いです。
あまりにテーマが壮大なのと、SF的な緻密さを追求したため、最後は広げた風呂敷をたたみきれずに終わったような印象も。
主役は結局誰だったのか…?
ただ、相当に読み応えがあります。
人類の罪とは何か?
とにかく読み手に「考えること」を訴えかけてくる作品です。
感性豊かな若い人たちにこそ、ぜひ読んで欲しい。
オススメの【星7つ】とさせて頂きます。
【その他の遠藤浩輝作品】
ソフトメタルヴァンパイア
(2016〜)
記事を読む