No.164
カテゴリ:学園モノ/ラブコメ
オススメ度8 ★★★★★★★★☆☆
著者:一色まこと
出版社: 小学館
発売日:1988/7(1巻)
巻数:6巻完結
「ずっと前から君のこと 僕も好きだったんだ」
「ピアノの森」で有名な一色まこと先生。
その原点ともいうべき、20年前の作品がこの「出直しといで」。
恋あり、笑いあり、涙あり。
どたばたの青春学園コメディ。
あらすじ
森下茜は青菜高校に通う高校2年生。
落ちこぼれクラスの面々と楽しくスクールライフ。
ある日、親友・仁子との「ナンパしてOKをもらう」ゲームの賭けに勝つため、茜は冗談で初対面のエリートクラスの土屋くんに告白をする。
なんと返事はOK!
学園を揺るがす珍事に周りは大盛り上がり。
エリートクラスとは一触即発!?
恋に、友達に、部活に、卒業後の進路に。
悩める高校生たちの日常が描かれる。
あったかい、おもしろさ。
青春ラブコメなのですが「恋するドキドキ」を期待しちゃダメ。
あくまで学園コメディ。
毎回誰かの恋がきっかけで事件になって、ドタバタハチャメチャの騒動が巻き起こるパターンです。
落ちこぼれクラスのとびっきり元気な主人公・森下茜と、エリートクラスの土屋くんの恋愛を軸に、その他メインメンバー達のエピソードが絡んでくる展開。
一色漫画の何が好きかと?
キャラが本当に生き生きしてるんです。
学園モノなので、当然学校のシーンが多くなります。
たとえば大きなコマの中でメインキャラ以外にも、登場してくるモブ(群衆)キャラまでしっかり描かれてる。
それは絵が細かいというより、まさにそのコマの中で生きてる感じ。
セリフもないのに、「コイツ明らかになんか言ってるなw」みたいな。
すっごいみんなの性格がにじみ出てるんですね。
自分もそのクラスの中にいて、ドタバタを一緒に楽しんでいるような感覚になれる。
一色まこと先生といえば、今でこそ「ピアノの森」のような繊細な表現の漫画を描いていますが。
やっぱりこの「出直しといで」のようなドタバタした感じが大好き。
一色ファイトぉお!!
実は、この「出直しといで」には特別な思い入れがあって。
ちょっと長いけど語っちゃいますよ?
この作品の前に一色先生は、かの「少年ジャンプ」で「はなったれブギ」というコメディ作品を連載していました。
時は1980年代中期。
その頃のジャンプといえば、黄金期!
「ドラゴンボール」「北斗の拳」「キャプテン翼」「聖闘士星矢」のような大人気作品が目白押し。
そりゃあもう……。
10週で終わっちゃったよ!
当時僕は小学生。
どんどんと掲載順が後ろに下がってゆく「はなったれブギ」に、
「俺、好きなんだ。まだ終わるなよ」と心の中で祈ってました。
で、掲載終了の濃厚な雰囲気が漂い始めた頃。
ジャンプ巻末の作者の一言コメント欄を見るとね。
一色まこと先生が
みたいなコメントを寄せてて。
もうね。
「一色~~~ファイトぉぉぉ~~~!!」
MAXで雄叫びましたよ!
小学生の心をわしづかみ(笑)。
が。
応援むなしく、きっちり10週で終了。
そして再会!!
その後も、ジャンプに載るのをずっと待っていましたが、いつまでたっても「一色まこと」の連載は始まらない。
で、それから何年も経って中学2年の時。
当時の親友が「これおもしろいで」って出してきた一冊の本。
そこには「出直しといで」というタイトルと「一色まこと」の文字が!
「あぁ!!はなったれブギの人!」とその場で1巻を一気読み。
これがおもしろかった。
そして目の前の作品に「一色まこと」先生がいる嬉しさ。
「おおい!ずっと待ってたぜ!」
もう勝手に叫んでました。
「ジャンプ」でなく「スピリッツ」で連載してたとは!。
まだ少年だった俺は青年誌には目が向いてなかったぜ、このヤロウ!!
それから、ずっと「一色まこと」先生の作品を読み続けています。
何十年もこうして楽しませてくれるなんて、本当に凄い。
と。
今回は自分語りが長過ぎました。
ここまで読んでくれた人。
You! すげぇな!(笑)
ありがとう。
その後「花田少年史」「ピアノの森」と名作を描いてきた一色先生。
でも、やっぱり。
僕にとっての一番は、この「出直しといで」です。
さて、評価は?
学生の頃の人を好きになるワクワクした気持ち、もどかしい気持ち。
ただ仲間とワイワイしてるだけで幸せだったあの気持ち。
思い出してみたい、そんな時。
全6巻。
まとめて読むと、とっても楽しい気分になれます。
今回は自分の思い入れも込みで【星8つ】です。
【その他の一色まこと作品】
花田少年史 全5巻
(1994〜1995,2004)
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