No.277
カテゴリ:SF
オススメ度9 ★★★★★★★★★☆
著者:弐瓶勉
出版社: 講談社
発売日:2017/5/9(1巻)
巻数:1巻以下続刊
「…俺は 死んだのか?」
弐瓶ワールドキターー!!
「シドニアの騎士」「バイオメガ」「BLAME!」等々。
毎回、その独創的なSF世界で魅了してくれる弐瓶勉先生の新作です。
早速読んでみました!
それがこの「人形の国 -APOSIMZ-」です。
あらすじ
遺跡層におおわれた巨大人工天体「アポシムズ」。
その極寒の地表で暮らすエスロー達は行軍訓練のさなか、強大なリベドア帝国の兵士に追われる不思議な少女を助ける。
少女から託された「コード」と「七つの弾丸」。
それは世界の運命を大きく変えるものだった……!!
「シドニアの騎士」からいい意味でキャッチーとなった弐瓶作品。
今作もその路線を色濃く受けついでいます。
お得意のディストピアな荒涼とした世界観。
もう1ページ目を開いただけで。
これオモロいヤツやん!!
ってなります。
たった数ページ読み進めただけで。
もうその世界に魅了されます。
「風の谷のナウシカ」の冒頭シーン。
あの高密度で構築された物語の序章。
なんとも言えない高揚感がありますよね?
あんな気持ちになるといいますか。
読み始めて数ページで期待値が上がってしまう。
これは、流石の一言。
人形の国の人たち。
エスロー。
射撃の名手。
追われている少女を救うためリベドア帝国の兵士を殺してしまう。
タイターニア。
追われていた少女。
世界を変える重大な遺物をエスローに託す。
ゼゾ。
エスローたちの一族をリベドア帝国から300年にわたり守り導いてきた正規人形。
独特の世界観。
舞台は人工天体のアポシムズ。
その大半は超構造体の「殻」で覆われている。
人類はわずかな極寒の地表で生きている。
外では酸素マスクが必要。
蔓延する「人形病」。
自我がなくなり何百年とさまようことになる。
原因やその発生のメカニズムは1巻では明かされない。
正規人形とは?
コードを使い転換(転生)した人間を指します。
転換した人間は何百年と生きることになります。
戦う時は鎧化(がいか)して装甲のようなものを纏います。
転換中。
鎧化完了!
それぞれの正規人形に特殊な能力が備わっています
最初の敵、リベドア帝国の正規人形イーユ。
氷を操ります。
そして瀕死の重傷を負い正規人形へと転換したエスロー。
射出系の能力を宿します。
「アポシムズ」とは?
「シドニアの騎士」から引き継いだ用語や設定あり。
作中では改めて説明はされません。
「知っているもの」として普通に用語として出てきます。
なので「シドニアの騎士」を未読の方だと「これ、なんのこと?」となってしまうこともあるかと。
エネルギー源を表す「ヘイグス粒子」。
物質を構成する「エナ」など。
こんなオリジナル造語、初読みだとわからないですよね!?
そもそも今作の舞台「人工天体のアポシムズ」。
「シドニアの騎士」に出てくる恒星間宇宙船の名前です。
「シドニアの騎士」とは?
弐瓶先生の代表作となった、SF叙事詩。
2009年から2015年まで連載。
アニメ化もされ、弐瓶作品でもっとも認知度の高い作品です。
(2009〜2015)
<あらすじ>
奇居子(ガウナ)と呼ばれる生命体によって太陽系が破壊された1000年後の未来。
種の存続を賭けて繁殖と生産を維持しながら宇宙を旅する「播種船(はしゅせん)」を建造した人類は、太陽系を脱出して移民できる惑星を求め航海していた…。
「シドニア」も「アポシムズ」も500隻建造された播種船の一つ。
「シドニアの騎士」はその播種船の一つ「シドニア」とガウナの攻防を描いた作品です。
その中で「アポシムズ」は「シドニア」と最も近い位置を航行していた船で、通信が途絶えて300年近く消息不明と紹介されています。
ということで。
今作の舞台の「アポシムズ」はおそらく播種船のなれの果てではないかと。
となると…。
まさかガウナは出てこないよね?
人形病というのはもしかして…?
「シドニアの騎士」と舞台設定が繋がっているのではないか?と予想します。
さて、評価は?
すべての弐瓶作品を読んできましたが、今作が一番「読みやすい」のではないかと。
今作は「月刊少年シリウス」での連載。
著者の初の少年誌への掲載となります。
おそらくそれを意識してだと思います。
いわゆる王道少年漫画的な要素が散りばめられているなと。
それを奪いにくる敵との戦い。
主人公を助ける美少女キャラ。
つまりわかりやすい。
何と言っても。
敵が敵っぽい(笑)
今までの敵はエッジが効きすぎてて(苦笑)
なので。
ちょっとコアなイメージを持たれがちの弐瓶作品ですが、今回はわかりやすく面白い。
なので超オススメの【星9つ】でスタートします!
もしかして。
「シドニアの騎士」と並ぶ代表作になるのかも?
今後に期待大です!
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