No.89
カテゴリ:ファンタジー/1巻完結
オススメ度7 ★★★★★★★☆☆☆著者:尚月地
出版社: 講談社
発売日:2013/1/25
巻数:1巻完結
「ああこれで私 生きていける」
何だこの美しい少女たちは?
表紙がとっても気になって読んじゃいました。
それがこの「廃墟少女」。
概 要
何とも不思議な世界観。ビジュアル。
独創的なストーリー。
ホラーでもゴシックでもない。
ファンタジーであり現代的でもある。
「廃墟」「壊れゆくもの」をモチーフにした幻想的なオムニバス4編。
収録作品は以下の通り。
「廃墟少女」
「音楽が見える男」
「箪笥少女」
「帽子の上の丘」
現代が舞台のはずなのに、まるでパラレルワールド!
廃墟はさながら異世界のような空気感。
とにかく書き込みがすごい。
美しい!
本作は漫画といえば漫画。
ですが、アートのようでもあります。
エンターテイメント性ではなく芸術性を求めているような。
これ、扉絵じゃないんです。
漫画の1コマです!!
書き込み過ぎか!?
僕は画力の高い作品が大好きです。
書き込みが緻密なのも大好きです。
ですけれども。
本作の背景はあまりに秀美すぎて、疲れるというか…。
廃墟感を演出するために、やたらと歯車やオブジェがあったり。
前衛的な劇団の芝居のセットを見ているような、そんな感覚です。
↓こんな感じ。
とにかく背景にオブジェが多い。
もちろん、一枚のイラストと考えると、それは素晴らしいの一言。
さて、評価は?
「廃墟」をモチーフにしていますが、暗い汚いといった雰囲気は微塵もありません。
そこにあるのは澄んだ悲しさ。
消えるものの儚さ。
読後は不思議な寂しさが残りました。
絵に意識が向きがちですが、1編ずつのストーリーも独創的で面白い。
僕は最後の4編目、「帽子の上の丘」が好きです。
一度は読んでおきたい、ということで。
【星7つ】でオススメ。
これは熱狂的なファンがつくか、一巻読んだら満足してしまうかのどちらかもしれません。
このクオリティを連載で維持するのは難しいだろうなぁ。
尚先生の作品は本作が初めてでしたので、引き続き読んでみたいと思います。
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