スクール人魚

No.325
カテゴリ:ファンタジー/ホラー
オススメ度6 ★★★★★★☆☆☆☆
著者:吉富昭仁
出版社: 秋田書店
発売日:2013/4/19(1巻)
巻数:5巻完結

「人魚さん人魚さん お願いします」

なんと3巻が出ました。

2巻で終わりかと思ってたよ!

スクール水着を着た少女たちを、少女がナイフやバールで容赦なく狩る。

スクールホラーと銘打った奇妙な作品。

それがこの「スクール人魚」です。

あらすじ

深夜、学校のプールに現れるという“人魚”。

「その肉を食べると、恋が叶う」という伝説に惹かれ、少女たちは人魚狩りに奔走する!


感 想
可愛い ✖ 怖い!

美少女とスクール水着と。
ナイフとバール!

学校のプールに夜な夜な現れるスクール水着の少女たち。
その水着の少女たち(人魚)を。

ナイフやバールを持った少女が追いかけ回し殺すというこの物語。

シュールすぎやろっ!

なんでこんな設定を思いつくかなぁ!?

こんな奇天烈なストーリーをさらりと読ませてしまう。
それが吉富先生の凄いところ。

なんだこれ(笑)
なんて思う間もなく。
「ええ?ふむふむ!」とストーリーに引き込まれてしまいます。

やっぱり上手い。

「禁断のスクールホラー!」なんて後ろカバーに書かれてますが、ホラーとまでは言えない内容。

グロい表現は皆無。

読後感はミステリーやサスペンスに近い。

オムニバスストーリーの連作です。

少女同士の人魚をめぐる争い、駆け引き、友人との確執などが描かれていきます。

その中で、だんだんとスクール人魚の伝説が生まれたわけが明かされるという展開。

それは3巻になって一気に加速。

謎解きが佳境に向かい、人魚の真相に迫る、めちゃくちゃ気になるところで終わります。

この先、どうなるんだ!?


スクール人魚な人たち。

芳子と春子の場合。
プールの更衣室の掃除をしている時に人魚の伝説を書いた手帳を見つける。

俊子と直美の場合。
忘れ物を取りに夜の学校に行った時に、人魚狩りをしている友人に遭遇する。
その友人、優子は人魚を狩れずに、朝に消えてしまうが、その時に手帳を手に入れる。

スクール人魚。
ある呪文を唱えると現れる。
その肉を食べると”恋が叶う”とされている。
校舎の中をプールさながらに泳ぎ回る。


スクール人魚とは?

ある学校に受け継がれている伝説。
その噂の元は1冊の古びた手帳。

それには人魚を追いかけてきた少女たちの手記が書き込まれています。

深夜のプール。
手帳に書かれた呪文を読むと人魚が現れる。
その肉を食べると恋が叶う。

ただし!
一度呪文を唱えると、夜明けまでに人魚の肉を食べないと自分も人魚になってしまう!


見どころは?

何と言っても。

これもでもか!

というくらい出てくるスクール水着の少女。

でも、それが深夜の学校なんです。

無言で笑顔の少女たちがですよ!

廊下を泳ぎ回る絵は、ほのかに、怖い。

そして。

「恋を叶えるため」に友を裏切ることさえ厭わない。

少女たちのゲスい駆け引き。

なんてことをするんだ、この子は!

なんて思わずにいられない。

う〜〜ん。

これがまた面白い。


さて、評価は?

このシリーズ、完結したと思ってました。

1巻、2巻が2013年に刊行。

で、2巻の最終ページ。

⬆︎ ハイ、ここ。

これ。
2巻完結!って思うじゃないですか。

で、そう思ったまま数年。
そこからなんと4年も経った今年、2017年に3巻目が出ました。

著者の吉富先生も「まさか本当に3巻を描くことになるとは」なんてあとがきで述べています。

著者さえも想定外だったと語る、続編となる3巻。

なので、1、2巻のカラーと3巻のカラーは全く違います。

基本2〜3話で完結のエピソードの連作だった1、2巻。

ですが3巻は「人魚の謎を解く」という1巻分を使ってのストーリー展開に変わっています。

オムニバスストーリーでじわじわと謎が明かされていく形も良かったのですが。

完全にストーリー仕立てで解決編のように描いてもらえるのは、それはそれで嬉しいところ。

この様子だと来月発売予定の4巻で、人魚たちの謎が明かされそう。

ということで。
次巻が楽しみだ!の【星7つ】でオススメです。


5巻を読みました。

(2018.2.20)

【2/23追記】

なんと、完結です!

最初の集中連載から、足掛け11年。
異色のスクールホラーが結末を迎えました。

復活後の3巻からは「人魚伝説の生まれた謎」の解明が続きます。

言葉を話す“Qの人魚”。
すべては、彼女から始まった!?

この最終5巻で、その正体が明らかに。

なるほど、すっきり。

さて、最終評価は?

綺麗にまとまったのですが、どうにも後から辻褄合わせにいった感があり。

復活後の3巻からは謎解きにシフトしてしまい、作品のカラーが変わりました。

個人的には1〜2巻の流れが好きでした。

ハッキリとはわからない「学校の謎の伝説」。

それに振り回され、狂気に走る女子高生たちの群像劇が好きでした。

ここまで、きっちりかっちり謎を明らかにしなくても…。

すっきりしすぎたかも。

モヤっとしたまま終わるホラーでいて欲しかったかも。

というのが最後まで読んだ感想です。

なので、最終は【星6つ】でオススメ決定です!

謎解きミステリー好きには、きっと面白いはず。

全5巻を読む
(2013〜)


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